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「私は家にずっと居たかった」
のですが、ある日突然家族から違う家に泊まりに行ってくれと言われました。
家にはお父さんの仏壇があり、お供えのお茶を自分で変えることはもう出来なくなっていましたが、毎日夫の写真を見るのは私の楽しみの一つでした。
夫の顔を拝むのができなくなるかと思うと、違う家に行くのは嫌だったのですが、いつも私の汚れたおむつを変えてくれる嫁の疲れた顔を見ると、これ以上迷惑かけてもいけないのかなと思い、違う家に行くのを渋々了解しました。その日の朝、人が10人ぐらい乗れるような、バスを小さくしたような車が迎えに来ました。どこかに連れて行かれるようで、そして行ったら二度と家に帰って来れなくなるような気がして、本当は乗りたくなかったけれど、その大きな車の小柄な運転手さんの笑顔を見ると行ってみてもいいかなという気になりました。もし気に入らなければすぐに文句を言って家に帰ろうと思っていました。嫁は10日ぐらいの旅行に行けるぐらい大きいカバンに私の洋服や、いつも飲んでいる薬入れを詰めていきました。私も色々持っていきたいものがあったのですが、娘に荷物が多くなると言われて、結局タッパーに入った黒砂糖をその大きなカバンに隠すのが精一杯でした。大きな車は、今日から私が泊まることになる家に着きました。
そこは平屋の家を大きくしたような建物でした。玄関を入る前にちょっと牛の匂いがしましたが、小さいころから慣れ親しんだ匂いだったので、全然嫌ではありませんでした。
建物に入るとあずき色のTシャツみたいな服を着た、これまた優しい笑顔のお兄さんが迎えてくれました。そのお兄さんは不思議と私の名前を知っていました。車椅子を押されて広い長い廊下を行くと、右手に大広間みたいなところがあり、一見して私より年上のお爺さん、お婆さんが、私と同じ車椅子に座ってご飯を食べていました。でも自分で食べれている人は少なく、これまたカラフルなジャージみたいな服を着た若いお兄さんが笑顔でご飯を食べさせてくれていました。ああ、私もこの人たちの仲間入りなんだなと思うとちょっと残念で寂しくなりました。そしてこの人たちとこれから一緒に生活できるのか、とても不安になりました。私の部屋はその大広間から左に曲がって奥の方の部屋でした。入ってみると4人部屋でした。同じ部屋の方が入り口近くのベットに寝ていたので、挨拶しました。「めっかりもうさん。(こんにちは)」でも返事はありません。寝ているのかと思いよく見てみると、その人は目を開けたまま宙を見ていました。お隣さんだけど、この人とお喋りすることはないんだなとちょっと残念な気持ちになりました。私は初めて自分に与えられた窓際のベッドに寝てみました。寝心地は悪くありませんでしたが、家で聞いていた古いラジオもないし、使い慣れたマクラでもありません。家と違って小綺麗なベッドでしたが、自分の家の布団とは匂いが全然違います。私はまたまた家に帰りたくなりちょっと涙が出てきました。一緒についてきた嫁は部屋の入口のところであずき色のお兄さんと何か話をしていました。私が泣いているところを見ると、嫁に迷惑をかけるような気がして、涙を見られまいと外の景色を見ることにして横を向きました。その時、ふと外の庭の芝生を見ると、2匹の子山羊が草を食べているのが見えました。私の実家でも昔ヤギを飼っていて、家族みんなでとても可愛がって、時には散歩したり乳を搾ったりしたのを思い出しました。とても懐かしく楽しい思い出でした。


この可愛いヤギ達が毎日見られるのだったら、そして、誰だかわからないけど、こんなに笑顔の似合う親切な人たちが沢山いるのなら、しばらくここに居てもいいかなと思いました。

「ヤギの鳴く声で目が覚めたら」

ベッドの上でした。
家にはお父さんの仏壇があり、お供えのお茶を自分で変えることはもう出来なくなっていましたが、毎日夫の写真を見るのは私の楽しみの一つでした。
家では、じいさんの位牌が置いてある仏壇の部屋にいつも敷いてある布団で寝ていたので、ベッドに寝るのは初めて。寝る前はちょっとドキドキしたけど寝心地は悪くなかった。目が覚めた時、周りの見慣れない風景が不思議な感じだったけど、昨日のことを一所懸命思い出してみたら、ここは嫁さんに連れられてきた大きな家だった。この大きな家の名前は昨日聞いたような気がしたけどもう忘れた。もしかしてまだ聞いていないのかもしれない。でも、そんなこと私にとってはどうでもいい。ただひとつ言えるのは、ここが病院ではないだろうということ。私は具合が悪くもないし、注射もされなかったから。

 

起きてトイレに行こうと思ったけど、場所が分からないし、私は足が弱っていてうまく歩けないので、どうしようかと思っていたら、昨日私を迎えてくれたあずき色のTシャツをきたお兄さんがやってきて、「おはようさん」と笑顔で話しかけてくれた。私は見覚えのあるそのお兄さんの笑顔に安心して、トイレに行きたいことを伝えると、「ちっと待てな。車いすを持ってくいから。」と言ってくれた。

家では廊下の手すりを頼りにトイレまでなんとか行っていた。その手すりは、役場の人が頼んでくれて知り合いの大工さんが付けてくれたらしい。でも家のトイレはちょっと離れたとことにあるので、時間がかかって途中で漏らしてしまったこともあった。そんな時、お尻が冷たいのに、自分でどうしようもなくて、自分が情けなくてひとり泣いたこともある。嫁さんがあわてて来てくれて、きれいにしてくれたけど、やっぱり嫁さんにはどうか気を使ってしまう。本当の娘なら気兼ねなくお願い出来るけど、東京に行ったきりでもう何年も会っていない。

でもここでは、すぐにお兄さんが車いすを持って来てくれて、トイレに行くことができた。なんて楽ちん。最初、この家にくるのは、気が進まなかったけど、やっぱり来てよかった。こんなに親切な人たちがいると分かっているのであれば、もっと早く来てもよかった。私がここにいれば、嫁さんにも迷惑をかけないで済むから。

 

トイレの後、そろそろ朝ごはんの時間と言われたときに、どこからともなく昔聞いたことのある唄が聞こえてきた。

「みどりのおかのあかいやね~ とんがりぼうしのとけいだい~かねがなりますキンコンカン~ メエメエこやぎもないてます~」

そうだ、今日何も予定がなければ、あずき色のお兄さんに頼んで、あの可愛いヤギ達に会いに行ってみよう。


 

誰もが自分の家にいつまでも住みたいと思います。
誰も施設に入所したいと思ってこられる方はいないと思います。
でも、高齢者の方は様々な理由で施設を利用することがあります。
わらび苑は、その高齢者の方々が、安心して利用できる施設を目指しています。

社会医療法人 義順顕彰会

理事長 田上 寛容

社会医療法人 義順顕彰会

理事長 田上 寛容

「私は家にずっと居たかった」
のですが、ある日突然家族から違う家に泊まりに行ってくれと言われました。
家にはお父さんの仏壇があり、お供えのお茶を自分で変えることはもう出来なくなっていましたが、毎日夫の写真を見るのは私の楽しみの一つでした。
夫の顔を拝むのができなくなるかと思うと、違う家に行くのは嫌だったのですが、いつも私の汚れたおむつを変えてくれる嫁の疲れた顔を見ると、これ以上迷惑かけてもいけないのかなと思い、違う家に行くのを渋々了解しました。
  その日の朝、人が10人ぐらい乗れるような、バスを小さくしたような車が迎えに来ました。どこかに連れて行かれるようで、そして行ったら二度と家に帰って来れなくなるような気がして、本当は乗りたくなかったけれど、その大きな車の小柄な運転手さんの笑顔を見ると行ってみてもいいかなという気になりました。もし気に入らなければすぐに文句を言って家に帰ろうと思っていました。嫁は10日ぐらいの旅行に行けるぐらい大きいカバンに私の洋服や、いつも飲んでいる薬入れを詰めていきました。私も色々持っていきたいものがあったのですが、娘に荷物が多くなると言われて、結局タッパーに入った黒砂糖をその大きなカバンに隠すのが精一杯でした。大きな車は、今日から私が泊まることになる家に着きました。

  そこは平屋の家を大きくしたような建物でした。玄関を入る前にちょっと牛の匂いがしましたが、小さいころから慣れ親しんだ匂いだったので、全然嫌ではありませんでした。 建物に入るとあずき色のTシャツみたいな服を着た、これまた優しい笑顔のお兄さんが迎えてくれました。そのお兄さんは不思議と私の名前を知っていました。車椅子を押されて広い長い廊下を行くと、右手に大広間みたいなところがあり、一見して私より年上のお爺さん、お婆さんが、私と同じ車椅子に座ってご飯を食べていました。でも自分で食べれている人は少なく、これまたカラフルなジャージみたいな服を着た若いお兄さんが笑顔でご飯を食べさせてくれていました。ああ、私もこの人たちの仲間入りなんだなと思うとちょっと残念で寂しくなりました。そしてこの人たちとこれから一緒に生活できるのか、とても不安になりました。
  私の部屋はその大広間から左に曲がって奥の方の部屋でした。入ってみると4人部屋でした。同じ部屋の方が入り口近くのベットに寝ていたので、挨拶しました。「めっかりもうさん。(こんにちは)」でも返事はありません。寝ているのかと思いよく見てみると、その人は目を開けたまま宙を見ていました。お隣さんだけど、この人とお喋りすることはないんだなとちょっと残念な気持ちになりました。私は初めて自分に与えられた窓際のベッドに寝てみました。寝心地は悪くありませんでしたが、家で聞いていた古いラジオもないし、使い慣れたマクラでもありません。家と違って小綺麗なベッドでしたが、自分の家の布団とは匂いが全然違います。私はまたまた家に帰りたくなりちょっと涙が出てきました。一緒についてきた嫁は部屋の入口のところであずき色のお兄さんと何か話をしていました。私が泣いているところを見ると、嫁に迷惑をかけるような気がして、涙を見られまいと外の景色を見ることにして横を向きました。
  その時、ふと外の庭の芝生を見ると、2匹の子山羊が草を食べているのが見えました。私の実家でも昔ヤギを飼っていて、家族みんなでとても可愛がって、時には散歩したり乳を搾ったりしたのを思い出しました。とても懐かしく楽しい思い出でした。

この可愛いヤギ達が毎日見られるのだったら、そして、誰だかわからないけど、こんなに笑顔の似合う親切な人たちが沢山いるのなら、しばらくここに居てもいいかなと思いました。
「ヤギの鳴く声で目が覚めたら」
ベッドの上でした。
家にはお父さんの仏壇があり、お供えのお茶を自分で変えることはもう出来なくなっていましたが、毎日夫の写真を見るのは私の楽しみの一つでした。
家では、じいさんの位牌が置いてある仏壇の部屋にいつも敷いてある布団で寝ていたので、ベッドに寝るのは初めて。寝る前はちょっとドキドキしたけど寝心地は悪くなかった。
目が覚めた時、周りの見慣れない風景が不思議な感じだったけど、昨日のことを一所懸命思い出してみたら、ここは嫁さんに連れられてきた大きな家だった。
  この大きな家の名前は昨日聞いたような気がしたけどもう忘れた。もしかしてまだ聞いていないのかもしれない。でも、そんなこと私にとってはどうでもいい。ただひとつ言えるのは、ここが病院ではないだろうということ。私は具合が悪くもないし、注射もされなかったから。
  起きてトイレに行こうと思ったけど、場所が分からないし、私は足が弱っていてうまく歩けないので、どうしようかと思っていたら、昨日私を迎えてくれたあずき色のTシャツをきたお兄さんがやってきて、「おはようさん」と笑顔で話しかけてくれた。私は見覚えのあるそのお兄さんの笑顔に安心して、トイレに行きたいことを伝えると、「ちっと待てな。車いすを持ってくいから。」と言ってくれた。
  家では廊下の手すりを頼りにトイレまでなんとか行っていた。その手すりは、役場の人が頼んでくれて知り合いの大工さんが付けてくれたらしい。でも家のトイレはちょっと離れたとことにあるので、時間がかかって途中で漏らしてしまったこともあった。そんな時、お尻が冷たいのに、自分でどうしようもなくて、自分が情けなくてひとり泣いたこともある。嫁さんがあわてて来てくれて、きれいにしてくれたけど、やっぱり嫁さんにはどうか気を使ってしまう。本当の娘なら気兼ねなくお願い出来るけど、東京に行ったきりでもう何年も会っていない。
  でもここでは、すぐにお兄さんが車いすを持って来てくれて、トイレに行くことができた。なんて楽ちん。最初、この家にくるのは、気が進まなかったけど、やっぱり来てよかった。こんなに親切な人たちがいると分かっているのであれば、もっと早く来てもよかった。私がここにいれば、嫁さんにも迷惑をかけないで済むから。

   トイレの後、そろそろ朝ごはんの時間と言われたときに、どこからともなく昔聞いたことのある唄が聞こえてきた。
「みどりのおかのあかいやね~ とんがりぼうしのとけいだい~かねがなりますキンコンカン~ メエメエこやぎもないてます~」
そうだ、今日何も予定がなければ、あずき色のお兄さんに頼んで、あの可愛いヤギ達に会いに行ってみよう。



誰もが自分の家にいつまでも住みたいと思います。
誰も施設に入所したいと思ってこられる方はいないと思います。
でも、高齢者の方は様々な理由で施設を利用することがあります。
わらび苑は、その高齢者の方々が、安心して利用できる施設を目指しています。

社会医療法人 義順顕彰会

理事長 田上 寛容

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理事長 田上 寛容

 

 

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